キツネ女の独りごち

片言のベトナム語を操りだす怪しい外国人枠でベトナムに住んでます

サパ独りごち

週末を利用し、サパに行ってきた。まあサパに行くまでにかなりすったもんだがあったが、それでもサパに行ってきた。

ここからサパへは寝台バスで行くのがメジャーで、バスもピンキリあるが、総じて言えるのは、バスが横転でもした際には全員死ぬであろう、ということだ。三列×二段の寝台席にすし詰めになってサパに向かう。奴隷船のような乗り物である。ちなみに今回は満員だったので、なんと通路にも寝ている人がいた。これで切符代が他の人と同じだなんて、私だったら納得いかないが、ベトナムではさもありなんといったところなのだろうか。

そもそもなぜベトナム人は並ぶということを知らないのか?発展途上にあったかつての中国でも、並んで順番を待つという文化がなかった。その後文化が発展した中国では、昔に比べて並んで待つ人が格段に増えた。北京オリンピック開催が近づいたころの、国民ひとりひとりの啓蒙活動によるもので、これをきっかけに中国人のモラルは格段に上がったと私は感じている。

うがった見方ではあるが、発展途上のベトナム人にはまだ、並ぶことによって他人に不快感を与えることなく自分の目的も達成されるので、結果的にどちらも得をする、ということが理解できないのだろうか。先日コンビニに水を買いに行きレジに並んでいると、女子大生どもがわらわらと横から入ってきて順番を抜かされ、たかが水一本買うのに数分を費やし、恋人に「帰ったかと思った」と言われたことがあった。とにかくこの、並ばない文化は日本人にとっては受け入れがたい。

しかもベトナム人は自分たちに過剰とも言える自信を持っているので、私ごときがそれを指摘したところで、彼らは口を揃えて「それがベトナムだから」だの「人によりけり」だの言う。諸問題を自分のことに置き換えて考えるのが本当に苦手な人たちだとつくづく思う。そんなことで自国の発展を続けていくことができるのだろうかと片言外国人枠から心配している。

余計なことを熱く語ってしまったが本題に戻ろう、奴隷船は無事に夜中の3時にサパへ着いた。恋人はテンションが上がってしまったのか、朝までバスで寝る計画をすっかり忘れて、バスから降りて散策しようと言う。夜中の3時に旅人を受け入れてくれるスポットがいったいどこにあるというのだ、ましてや少数民族の地、サパに。ぐるりと一周したけれど案の定何もなくて、しかもバスは扉をしめてドライバーともども就寝していて、完全に締め出されてしまった。この極寒の地で何をしろというのか。恋人の計画性のなさと自分の流されやすい性格にいらだちを隠せないまま、サパの旅はスタートしたのである。つづく